計算できますか?贈与税【土地の名義変更】



計算できますか?贈与税【土地の名義変更】写真

生前にご家族やご親族間で贈与をして
土地の名義変更をする場合、
必ずといって良いほど贈与税の課税の有無と
その金額が問題となります。

贈与税は一般の感覚からすると
べらぼうに高くなることが多く、
特に土地のような高額な財産を
贈与で名義変更するとなると、、、

贈与税が数十万、数百万になることもあるのです。


「とりあえず土地の名義変更」がダメな理由

贈与は無償で財産をやり取りする契約です。
子どもや孫へ土地の名義が簡単に書き換えられるもの
といったイメージを持たれている方も
多いのではないでしょうか。

私たちの事務所にも
「土地の名義を変えたいんですが、、、」
といったご相談は多くあります。


私たちは、このときすぐに

「分かりました。司法書士費用は〇〇円です。」

といったご案内をすることはありません

なぜなら、
私たちは贈与税も含め税金の検証をせずに
土地の名義変更の手続きを
お引き受けすることはないからです。

どのような土地の名義変更を考えておられるか
事務所で相談を聞いた上で
税金の課税の可能性についてご案内します。

思い立ったらすぐに土地の名義変更を
実行しようとされる方もいらっしゃいますが、

実際、ご相談に来て頂き、
贈与税の見込額をお知らせすると、
手続きをストップされるお客様も多いです。

とりあえず土地の名義変更を、と考えて
この税金の部分を検討せずに実行した場合、
忘れた頃に多額の贈与税を納めないと
いけなくなってしまうかもしれません。

そこで、今回は土地をご家族やご親族に
贈与して名義変更することを考えたとき、
大体の贈与税を計算するステップをご案内します。

土地の贈与税を計算する3ステップ

さて、贈与の場合、
土地の金額は相続税評価額を採用して
贈与税を計算することになっています。

相続税評価額には路線価方式、倍率方式
上記の2つがありますが、
京都市内であればほとんどが
路線価のある土地だと思いますので、
今回は路線価方式による計算方法を解説します

なお、この路線価による土地の相続税評価額は
正確に計算しようとすると、
かなり複雑な計算になってしまいます。

今回は土地の名義変更をする際の
贈与税の大体の金額を簡単に把握できるよう
単純化した計算方法をお知らせします。


1.土地の全部事項証明書(登記簿謄本)を準備する

まずは、所有しておられる土地の
最新の登記簿謄本を準備しましょう。

登記簿謄本は最寄りの法務局で
交付を受けることができます。

また、最近ではオンラインの手続きで
たとえ家にいながらでも
土地の登記簿謄本を請求できます。

かんたん証明書請求


登記簿謄本には土地の面積が記載されています。
この面積を次の相続税評価額の計算に使います


2.路線価を調べて相続税評価額を出す

土地の登記簿謄本を準備したら、
次は相続税評価額を計算するために
下記のサイトで路線価を調査します。

国税庁 - 路線価図・評価倍率表


路線価は地図に書き込まれており
(これを路線価図といいます)、
住所から検索できるようになっています。

まずは贈与される土地の路線価図を
探してみましょう。





路線価は、その名のとおり
路線(道路)に面する
宅地の1平方メートルあたりの価額のことで、
1000円単位で表示されています。

路線価図では、3桁の数字とアルファベットの
組み合わせで表示されており
上記の図の赤丸で囲 った「410C」
と書かれている部分が路線価です。

この例では、1㎡あたり410,000円となります。
(アルファベットは今回無視して大丈夫です。)

この路線価を使って、土地の相続税評価額を計算します。

例えば、登記簿謄本に記載された面積が100㎡であれば

410,000 ✕ 100 = 41,000,000(円)

贈与税の計算に使用する相続税評価額となります。


実際には
土地の位置(角地など複数の道路に面している場合など)、
土地の形状(奥行、間口の狭さ、形がいびつ、など)によって
土地の金額を補正しないといけません。

しかし、土地の名義変更を検討する上で
贈与税のシミュレーションとして使うには
とりあえずはこの金額で十分です。


3,贈与税を計算する

土地の相続税評価額が計算できたらあと一歩です。

いよいよ贈与税の計算に入ります。


①贈与税の課税価格を計算

贈与税には110万円の基礎控除が定められています。

贈与税の課税価格は、

相続税評価額 - 基礎控除

の計算式で算出します。

先程の例に当てはめると、

41,000,000 − 1,100,000 = 39,900,000(円)

となります。


②贈与税の税額を算出

贈与税は、

課税価格 × 税率 − 控除額

で算出します。

なお、平成27年以降の贈与については
贈与税は土地をあげる人と
土地をもらう人の関係によって
次のように税率が異なっています。

・【一般贈与財産用】一般税率
下記以外の贈与に使用

・【特例贈与財産用】特例税率
直系尊属(祖父母や父母など)から、
その年の1月1日において20歳以上の者
(子・孫など)への贈与に使用





今回は、特例税率による計算をしてみます。

39,900,000 × 50% − 4,150,000 = 15,800,000(円)

先程の土地を贈与により名義変更した場合の
贈与税は、なんと1,580万円にもなります。


このように、
土地の名義変更をしただけで
お金が入るわけでもないのに、
もらった人は高額の贈与税の負担を
強いられることになります。

贈与で土地の名義変更をする場合の
負担の大きさが少しお分かりになったでしょうか??


贈与税の負担なく土地の名義変更を行うには

さて、贈与税を計算してみると、
とても土地の名義変更はできない、
と思われることもあると思います。

方法がないわけではありません。
どのように贈与税の負担を少なくして
不動産の名義変更をすることで
依頼者の目的を達成するか?

専門家としての腕の見せ所でもあります。

贈与税の負担をなるべく軽くしながら、
土地の名義変更を実行する方法として
次の3つの例を紹介します。


1.贈与税の特典を使って土地の名義変更をする

贈与税には、一定の条件に当てはまった場合に
特典がいくつか用意されています。

ご家族間の土地の名義変更で活用できるものとしては
例えば次のようなものがあります。

・相続時精算課税制度
・居住用不動産の配偶者控除

これらを活用すれば、
土地の名義変更のときに
贈与税の支払いを先延ばしにしたり、
または全く支払わずに済む可能性があります


2.毎年少しずつ土地を贈与して名義変更をする

贈与税は毎年1月1日から12月31日までの
1年単位で計算します

これを利用して、
毎年基礎控除(110万円)以内
あるいはこれを少し超えるくらいで
土地の共有持分を毎年贈与していく方法です。

一度に土地を贈与して名義変更するよりも
期間やコストがかかりますが、
その分支払う贈与税の金額は
大きく減らすことができます


3.別の仕組みで土地の名義変更をする

土地の名義変更のやり方は沢山あります。
贈与税が課税されない仕組みを使って、
土地を名義変更することで
本来の目的を達成できることもあります。

・遺言書で相続のときに確実に土地を名義変更する
・家族信託を利用して、所有者を変えずに名義変更する


贈与税は不動産の名義変更のときではなく、
翌年の決まった時期に
申告して納税しないといけません。

贈与税がかかることやその金額を知らずに
土地の名義変更を行ってしまったら、、、
取り返しがつきません。


ご家族間で不動産の名義変更をするには、
上記の3つの方法を活用して
贈与税の負担がなるべく少なくなるよう
工夫をすることが重要です。

まずは今回ご紹介した方法で贈与税を計算し、
税額を把握するのが第一歩となります。


また、ご家族間の不動産の名義変更については、
次の記事もおススメです。

ご家族間で不動産の名義変更をする場合の注意点

↓ ↓ ↓

このような土地の名義変更を
司法書士費用だけで選んでも大丈夫ですか??

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