【警告】相続放棄でやってはいけない3つのこと



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相続放棄は、きちんと決まりさえ守って、書類も不備なく提出すれば家庭裁判所は受け付けてくれます。

相続放棄の理由は何でも良く「こういった理由でないと受付しない」というようなものではありません。

ですから、基本的に専門家に小難しい相続放棄をする理由を考えてもらう必要はありません。

いくつかの決められたルールを守っているかどうかの方が重要です。

このルールとは、相続放棄をする上で「絶対にやってはいけないこと」です。

これをやってしまうと、いったん普通に相続しようとしていて、後日「やっぱり相続放棄がいいかな?」と思っても家庭裁判所が受理してくれない可能性が高くなります。
または、後で効力を覆されてしまいます。

今日はそれをなるべく分かりやすく紹介しますので、
これから相続手続を行動に移す前の事前のチェックリストとして活用してください。


さて、民法には次のような条文があります。

(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
1 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
2 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
3 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

ひとことでいえば、ここに書いてあることをするともう有無を言わせずあなたが相続したことにしますよ、という内容になります。

いわば相続放棄をする上でやってはいけないことリストですね。

条文のままでは分かりにくいので順番に解説します。

相続放棄をするときに押さえておくべき3つのポイント

1.相続財産を処分しない

相続放棄の前に、相続財産をまるで自分のものになったかのような振る舞いをしてしまうと「相続しようとしてるんちゃうん?」と第三者からは見られるので、相続したことになってしまいます。つまり、その後相続放棄はできません。

処分というのは、自分のものになったからやることです。勘違いさせるような行動をとってはいけないという決まりです。

具体的には、相続財産を売却したり、返済に使ったり、捨てたり、建物を取壊したり、故人が貸していたお金を請求する、といったことがこれにあたります。

でも、これ案外どこまでダメなのか判断が難しいです。

例えば、
・故人の金銭的価値のないようなものも処分してはいけないのか?
・請求がきている債務(医療費や施設費など)も返済してはいけないのか?
・お葬式代にも故人の預貯金を使ってはいけないのか?

こんなこと気になりませんか??
というよりも何も考えずやってしまいそうです。

これまでの裁判所の判断では、このように一般常識で普通やるだろうという程度のものは大丈夫だとされていますが、程度問題ですので注意は必要です。

その中でも「保存行為」と「短期の賃貸」はやっても良いとされています。
これは、どちらも財産の価値を減らさないように守る行為だからです。

例えば、空き家になるよりも人が住んでいる方が痛まないので、相続放棄する前にこれまでどおり故人名義の家に住んでいても大丈夫ですし、住んでいなければ少しの期間他人に賃貸することも許されています。

2.三ヶ月以上相続を放置しない

これは有名なので、改めてご説明する必要はないかもしれません。自分が相続人になったことを知ってから3か月放っておくと、もはや相続放棄や限定承認はできません。

いつまでも裁判所は待ちませんよ、ということです。

正直なところ、相続放棄はやろうと決めるまでが難しく、この期間内に相続財産や借金の調査、相続人間の調整、そして次の相続人への連絡など必要なことを全て終わらせるには短いと思います。

この熟慮期間(というには短いですが)、はその間に決められない事情があれば家庭裁判所に申し立てて伸ばしてもらうこともできます。

当然遡って伸ばしてもらうことはできません。
相続放棄を考えるときは早め、早めの行動を心がけてください。

3.相続財産を隠さない、使わない

これは、相続放棄が終わった後のことです。

相続人が相続放棄をすると、相続財産は他の相続人または次の順位の相続人のものになります。また、故人の債権者が返済してもらうために必要なものでもあります。

ここで、自分が管理していた預金通帳を意図的に隠したり、こっそり価値のある貴金属を持ち去ったりすると、これらの人にとって迷惑極まりないです。

こういうことをすると「やっぱり相続したことにします」と、いったん相続放棄をしていてもその手続を覆されてしまいます。

わざわざこんなことをする人はいないでしょうが、一応決まりとして覚えておいてください。


いかがでしたでしょうか?
3については、うっかりミスでやることではなく、悪意がなければそもそもやりませんので1と2に気を付けて下さい。

相続財産の処分については、どこまでやって良いか一般論で判断できることではないので、迷う場合は自分たちだけで判断せず、早い段階から専門家のアドバイスを受けながら相続放棄を順番に進めていくのが望ましいと思います。


このように、相続放棄の手続は難しくありませんが、そこに至るまでの注意点や相続放棄をして良いかどうかの判断は難しいです。

相続放棄は準備段階から始まっています。
「手続をしたら終わりだ」という考えではなく、順番に正しい手順を踏んでいく手続だと考えるようにしてください。

書類を提出するのは、その最後の手順に過ぎません。

その方が後日、相続放棄が受け付けられないという最悪の結果を避けることができます。

 

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