相続登記を長期間放置してしまった不動産の解決方法



相続登記を長期間放置してしまった不動産の解決方法写真

相続登記を長期間放置してしまうと、

いざ売却など不動産の名義変更が必要になったとき、

最悪の場合相続登記ができないことがあります。

 

そのため、相続が起こったタイミングで

名義にする相続人をきちんと決めて、

相続登記で名義を変更しておくことが肝心です。

 

前回の記事では、この点について

詳しく解説いたしました。

 

参考:あなたは大丈夫ですか?長期間放置した相続登記のデメリット

 

相続登記が長期間放置された不動産を

現在の世代に名義変更するためには

解決までの道筋に大きな手間と長い時間が必要です。

加えて、一般的に専門家の費用も高額になります。

 

「相続登記を早くしておいた方が良いのはよく分かった。
だけどもう長いこと放置されているよ。」

 

こんな風に、もう既に相続登記をせずに

お亡くなりになった方の名義のまま

長期間放置してしまっている不動産がある場合、

どうすれば良いでしょうか??

 

今回は、相続登記が長期間放置された不動産の名義変更を

なるべくスムーズに、手間や費用もかけずに

解決するためのヒントをお知らせします。


長期間放置した相続登記をスムーズに進める5つのヒント

 

私たちは、実際に相続登記が長期間放置されており、

相続人の中に全く面識のない方がいるような

不動産の名義変更をいくつも解決に導いてきました。

 

そのため相続人同士でトラブルを起こさず、

交渉に弁護士を使うこともなく、

最短の手順で相続登記を行うことができる

いくつかのノウハウを持っています。

 

中には、依頼者様をサポートすることにより

弁護士に依頼を持ち込まれて一度失敗したご相談を

解決したこともあります。

 

私たちが解決した事例に共通するポイントをご紹介することで、

あなたがこれから長期間放置された相続登記に取り組み、

解決するための重要なヒントになると思います。

 

1.相続登記に着手する前の事前調査

 

これからお伝えする事前調査は、

長期間放置した相続登記に限られず、

全ての相続登記に共通するものですが

間違っていた場合の影響が大きいので

特に注意するようにしてください。

 

相続登記をする不動産の調査

 

毎年送られてくる固定資産税の納税通知書の課税明細や

役所で名寄帳を取り寄せて、被相続人名義の不動産を把握します。

 

次に法務局で登記簿謄本を入手して、

誰の名義になっているか確認しましょう。

 

このとき注意したいのが、

私道部分などの非課税の不動産です。

 

非課税の不動産は積極的に調査しないと

把握するのが困難です。

 

司法書士が以前の相続登記に関与していても

抜けていることがあります。

 

・法務局の公図や住宅地図

・被相続人の権利証(登記済証)

 

これらの資料も参考に相続登記をする不動産を調査します。

 

もし、被相続人名義の不動産が後日発見された場合は

相続登記の手順を1からやり直すことになってしまいます。

 

これがもし放置していた相続登記で起こってしまったら、

本当に取り返しがつきません。

 

正確な相続人の把握

 

相続人は必要な戸籍謄本を全て取得して、

公的な情報で確認するようにしてください。

 

あなたの知らないうちに結婚や離婚をしていたり、

養子縁組をしていたり、認知をしていたり、

まれに隠し子がいるようなケースもあります。

 

あなたやあなたの近いご親族の認識で

家系図を作って相続人を把握すると、

間違っているおそれがあります。

 

関係が薄くなればなるほど、

そのような情報が入ってこなくなるので、

必ず最新の戸籍謄本で確認するようにしましょう。

 

また、一般的には相続人の判断は

それほど難しいものではありません。

 

でも、相続登記を長期間放置していて

相続が何度も起こっているケースでは

相続の回数を重ねるごとに相続関係が複雑になります。

 

亡くなられた順番、代襲相続の有無、養子縁組のタイミング、

これらを1回の相続ごとに見ていかないといけません。

 

正直なところ、、、

司法書士として日頃から沢山の相続登記を申請している

私たちでも判断に迷うこともありますので、

絶対に1人では判断しません。

 

実際に、ご相談に来られて

「この人も相続人になるの!?」

と相続人の判断を誤っておられたケースも何度もあります。

 

相続人の判断を誤ると

遺産分割協議自体をやり直すことになり、

せっかく印鑑を押してもらった書類も

再度もらいなおすことになります。

 

このように、

 

相続登記をする不動産の調査

正確な相続人の調査

 

は後日フォローするのが困難なので、

放置された相続登記に具体的に取り組む前に

必ず終わらせておく作業になります。

 

2.他の相続人への最初のアプローチがとても重要

 

これまで、長期間放置された相続登記が

スムーズに進んだ事例に共通するまず最初のポイントが

 

他の相続人への最初のアプローチに失敗しなかった

 

ということが挙げられます。

 

他の相続人への連絡は、

 

・依頼者様から直接連絡

・司法書士や弁護士など代理人による連絡

 

が検討できます。

 

なお、ちょっと細かい話ですが

司法書士が代理人になれるのは

相続人の間に紛争性がなく、

遺産整理業務として引き受けた場合です。

 

いずれにしろ、私たちがお手伝いをして解決したケースでは

相続人への連絡に代理人を利用したものは1件もありません。

 

相続登記について詳しい説明が必要な場合は、

同封の書面に私たちからの解説を入れるなど

ちょっとした工夫をしています。

 

想像してみて頂ければ分かると思いますが、

いきなり弁護士や司法書士から突然連絡が来れば、

警戒するのは当然といえます。

 

さらに連絡先が弁護士や司法書士事務所になっていたら、

自分も代理人を立てようと思ってしまうかもしれません。

 

あくまで連絡を取っているのは依頼者様で、

私たちはそれを背後から支えるというスタイルの方が

経験上今後の話し合いがスムーズにいくことが多いです。

 

専門家に相続登記やその連絡を丸投げするのではなく、

 

最初の連絡は依頼者様自身から

 

という当事者意識を持つことが重要だと思います。

 

3.手紙の文面や仕組みを工夫する

 

関係の近い相続人であれば、

電話での連絡が良い場合もありますが、

疎遠であったり面識のない相続人については

お手紙を送ることになります。

 

この相続人への手紙の文面や仕組みも重要なポイントの1つです。

 

・誠実な文章を心がけ、読んだ相続人の不安を取り除くこと

・連絡を返しやすい仕組みを作ること

 

これらの点に注意することで

たとえ面識のない相続人であっても

警戒なく連絡がもらえる確率が高くなります。

 

手紙の文案の作成やアドバイスもさせて頂いてますが、

上手くいったケースでは次のような内容が含まれています。

 

まずは突然連絡したことを謝る

 

相手からすれば、急に知らない人から

相続登記についての連絡があるわけですから

驚きますし警戒もします。

 

まずは自分の立場を明らかにして、

相手に共感し謝罪しましょう。

 

なぜ相続登記をしないといけないのか目的や理由をきちんと書く

 

相続登記を長期間放置した経緯、

今回不動産の名義変更をしなければいけない理由、

相続登記のために相手の協力が必要なこと、

 

これらを相手に理解できるよう丁寧に説明します。

 

情報は全て開示する

 

相続登記が必要な不動産の登記簿謄本。

戸籍謄本により確定させた家系図。

 

相手も確認しやすいような

正確な資料を同封するのも効果的です。

 

もし、不動産以外の財産があれば

それも開示すべきです。

 

公的な資料や、正確な情報を伝えることで

相手の不安は和らぎます。

 

間違っても少しでも自分に有利に進めようと思って、

情報を隠すのはやめましょう。

 

必ず相続人からのレスポンスを求める

 

面識のない相続人に連絡して

放置している相続登記を解決するケースでは

他の相続人と連絡が取れない、

ということが一番の問題です。

 

これを避けるためには、

相続登記に「協力する」「協力しない」に関わらず

連絡がもらえるようにしておくことが肝心です。

 

コツとしては

 

とにかく返信しやすいようにする

 

ことです。

 

例えば「お電話ください」よりも、

「同封の書面に記入して返信してください」

の方が一般的にハードルが低いですし、

返信用封筒を入れておけば

さらに返信の確率は高まるでしょう。

 

同封の書面も「協力する」「協力しない」

という項目のどちらかに◯を付けてもらい、

「協力しない」場合はその理由を書いてもらう

といった簡単なものの方が良いでしょう。

 

4.遺産分割協議以外の方法もうまく活用する

 

遺産分割協議は相続人全員の意見を統一しなければいけないので、

相続人が多くなるにつれ、難しくなるのが通常です。

 

長期間放置されて相続人が沢山になった相続登記をする場合には、

相続分を譲り受ける相続分譲渡という方法を採用することもあります

 

相続分譲渡は、全員で話し合う遺産分割協議とは違い

それぞれの相続人ごとの個別交渉です。

 

そのため、ひとりずつ話がまとまった相続人から

相続分譲渡証明書という書類に印鑑をもらえば

以後遺産分割協議に参加してもらう必要がなくなります。

 

相続登記の場面において、相続人が多くなって

遺産分割協議の調整が難しいときに特に力を発揮します。

 

ただし、このようなメリットがある一方で相続登記上は、

 

・相続登記を申請する段階で3か月以内の印鑑証明書が必要

・一般に長期間放置されている相続登記では、

遺産分割協議書を使うよりも登記の件数が多くなってしまう

 

というデメリットもありますので、

これらを比較して利用することになります。

 

5.アドバイスを求めるなら交渉前の早い段階で

 

率直に言って、長期間放置された相続登記を

司法書士、弁護士などの専門家のアドバイスなしで

解決するのは非常に困難です。

 

他の相続人と接触できる機会も限られていますし、

必要書類のもらい忘れひとつで

相続登記ができなくなることもあります。

 

これまで私たちがアドバイスさせて頂いて

このような長期間放置されていた相続登記が

スムーズに解決したケースでは

依頼者様が他の相続人に連絡される前の

早い段階からご相談に来られており、

最初から一緒に手順を組んで取り組んでいます。

 

逆に、

 

・遺産分割協議がこじれている

・相手に弁護士などの代理人が付いてしまっている

 

などトラブルが起こってからご相談に来られると

そもそもお手伝いが難しくなり、

私たちも弁護士をご案内することしかできません。

 

まとめ

 

以上のように、私たちがこれまでの経験上

長期間放置された相続登記がスムーズに解決したケースに

共通するポイントを紹介させて頂きました。

 

これらを一言でまとめるなら、

 

相続の法律以外の部分を特に注意して

相手の立場で物事を考える

 

ということになると思います。

 

実際にはケースバイケースという点も多く、

依頼者様の相続の背景や状況に応じて

慎重な判断が必要です。

 

また、もちろんこれらの方法に従ったからといって

確実に長期間放置された相続登記が解決できるとは限りません。

 

場合によっては、弁護士を入れて

調停や裁判をしなければいけないケースもあるでしょう。

 

しかし、その前段階として

他の相続人にうまくアプローチをすれば

手間や時間、費用をなるべくかけずに

スムーズに解決できた実例があるのも事実です。

 

相続登記が長期間放置されていて、

不動産をもう動かせない。。。

と諦める前に、私たちのような司法書士と

二人三脚で相続登記に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

↓ ↓ ↓

・不動産の名義が昔のまま変わっていない、、、
・相続人が亡くなっていて一体誰に連絡をすれば良いか分からない、、、
・大変そうなので相続登記を放ったらかしている。。。

もし、相続登記を放置している不動産があるなら、
あなたの具体的なケースについて
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相続登記が放置された不動産について

・非課税の不動産と相続人調査のポイント
・解決までの道筋
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