故人の相続財産を見つけるポイント
単純承認、相続放棄、限定承認
相続にはこの3つの選択肢があり、
それぞれの手続にはメリット・デメリットがあります。
相続人は、どの手続を行うかを
故人(被相続人)が亡くなられてから3か月以内
に選ばないといけません。
相続の選択は後戻りできません。
これら相続の選択を失敗しないためには、
相続に関する正確な情報収集を行うことが肝心です。
相続の選択をする前に行うべき作業は、次のとおりです。
・相続人の確定(戸籍謄本を集める)
・遺言書の調査
・相続財産の調査
・借金や負債の調査
今日は、相続財産の調査
について解説いたします。
【財産の種類別】相続財産を調査するポイント
まず、相続財産の全部を漏れなく確実に
把握する方法というものはありません。
財産に関する大事なものは、
ご自宅や貸金庫に保管されていることが多いので、
相続人がそのような場所をくまなく探して
発見していくことになります。
相続財産の種類ごとにポイントや注意点を紹介いたします。
自宅に送られてくる郵便は貴重な資料
銀行や証券会社、役所からの郵便は
財産を把握する上での貴重な資料になります。
手続が終わるまでは、
処分せず保管しておきましょう。
遺言書は財産のリストになることがある
前回の記事のとおり、
遺言書は、書き方にもよりますが、
不動産や、預貯金口座、投資信託や上場株式など
具体的な財産が記載されていることがあります。
また、関与された専門家がいるようであれば、
故人の財産の情報を保管されていることも多いと思います。
問い合わせてみても良いでしょう。
不動産は、固定資産税の納税通知書(課税明細)で確認
毎年役所から送られてくる
固定資産税の納税通知書に不動産の記載がありますので、
課税されている不動産についてはこの書類で把握できます。
お手元にない場合は
「名寄帳」という証明書を不動産の所在の
市区町村役場に請求することで
管轄内の不動産はリストで挙がってきます。
ただし、非課税の私道の持分などは
これらの書類には記載されず発見できません。
漏れがないようにするためには、上記に加えて
登記済権利証(登記識別情報通知)を確認するか、
法務局の図面を検索して探すことになります。
預貯金は預金通帳や証書で確認。あやしいところは口座照会
預貯金は残っている預金通帳や証書で発見し、
残高証明書で正確な金額を確認します。
比較的見落としにくい財産です。
しかし、色々な事情で
そのような資料が残っていないこともあるでしょう。
預金通帳がない場合は、
故人の取引の有無を調べるために
金融機関に対して口座照会を行うこともできます。
例えば、下記のような金融機関に対して
口座照会を行うと、知らない口座が発見できることがあります。
・生前取引されていたのが確実
・ご自宅周辺に支店がある
・故人宛に郵便が届いた
最近はネット銀行もありますので、
インターネットを利用されていた場合は
メールやブックマークもチェックしてみてください。
投資信託や上場株式は通常証券会社から定期的に残高証明書やハガキが届く
証券会社で預るような投資信託や上場株式などの
有価証券は資料として残高証明書が残っていなくても、
通常定期的に郵便で残高証明書やハガキが届きますので
注意して郵便をチェックしておきましょう。
最近はネット証券もありますので、
インターネットを利用されていた場合は
メールやブックマークもチェックしてみてください。
生命保険は保険証券で確認
通常は保険証券を保管されているはずですので、
そちらで内容を確認することになります。
また、保険会社にもよりますが、
定期的に契約内容の確認のため
郵便を送ってくれるところも多いので
郵便もチェックしておくと確実です。
■まとめ
相続が開始したら、
どのような選択をするにしろ、
まずは相続に関する正確な情報を集めるのが
選択を失敗しないコツです。
相続財産の有無や金額は、
次回お話する負債とともに
単純承認、相続放棄、限定承認を判断するための
特に重要な情報になります。
少し面倒な部分もありますが、
自分や家族が動けなければ
うまく専門家を活用するなどして
スムーズに相続財産を把握するようにしましょう。