単純承認・相続放棄・限定承認を決める前にやっておくべきこと
単純承認、相続放棄、限定承認
相続にはこの3つの選択肢があり、
それぞれの手続にはメリット・デメリットがあります。
相続人は、どの手続を行うかを
故人(被相続人)が亡くなられてから3か月以内
に選ばないといけません。
なお、何もしなかった場合、
相続財産に手を付けた場合は
自動的に単純承認したものと取り扱われます。
では、この単純承認、相続放棄、限定承認は
一体どのように選べば良いのでしょうか??
3つの手続を検討する前にやっておくべきこと
それは相続に関する正確な情報収集です。
相続の選択は後戻りできません。
最終的にはそれぞれの相続人の事情により選ぶものですが、
単純承認、相続放棄、限定承認のどれを選択するにしろ
その前提として、客観的な情報を整理しておくことが
後日のトラブルや失敗を防ぐためのコツです。
また、事前にこれらの作業を行っておくことで
その後の手続もスムーズに進められるでしょう。
さて、相続の選択をする前に行うべき作業は、次のとおりです。
・相続人の確定(戸籍謄本を集める)
・遺言書の調査
・相続財産の調査
・借金や負債の調査
今日は、相続人の確定(戸籍謄本を集める)
について解説いたします。
相続人の確定(戸籍謄本を集める)
まずは、相続人が誰になるかを確定しておきます。
相続人は、
・誰と遺産分割協議をしなければいけないか
・相続放棄した後の相続人がどう変わるか
・限定承認を誰と一緒にしないといけないか
このようにどの手続を選ぶ場合も重要な情報になります。
ほとんどの方は自分の家族・親族関係をご存知ですので、
頭の中で相続人を決めてしまうことも多いですが、
まれに、父親や母親に結婚前の子どもがいるなど、
後日全く知らない相続人が見つかることもあります。
このようなことがないよう、
早めにきちんと証明書で確認しておきましょう。
これは、戸籍謄本で確定させることになります。
戸籍には生年月日やお亡くなりになった日だけでなく、
子どもの有無や養子縁組の有無、認知の有無など
身分に関係することが公的な情報として全て記載されています。
これを集めることで相続人の証明ができるというわけです。
さて、戸籍は独特のルールで作られていて、
例えば結婚、他の市区町村への転籍、法改正などで
古いものは除籍になり、新しいものが作られていきます(編成)。
故人(被相続人)や相続人が載っている戸籍が何通もあるのが普通です。
したがって、亡くなられたときのものを1通だけ取って足りるものではなく、
これを辿って相続人が確定するまで集めていくことになります。
一般的に相続人の確定に必要な範囲
手続先で提出を求められる範囲の戸籍は次のとおりです。
【相続人が子(+配偶者)の場合】
・故人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
・子の最新の戸籍謄本
・子が先に亡くなっていた場合は、孫の最新の戸籍謄本
・妻または夫の最新の戸籍謄本
【相続人が親(+配偶者)の場合】
・故人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
・故人の親の最新の戸籍謄本
・妻または夫の最新の戸籍謄本
【相続人が兄弟姉妹(+配偶者)の場合】
・故人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
・故人の両親の出生から死亡までの戸籍・除籍・改正原戸籍謄本
・兄弟姉妹の最新の戸籍謄本
・兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合は、甥姪の最新の戸籍謄本
・妻または夫の最新の戸籍謄本
※兄弟姉妹の場合は、ほとんどの場合、大量の戸籍を取得することになります。
請求先の窓口は本籍地の市区町村役場です。
他府県など遠方の場合は郵送で請求するのが便利です。
戸籍を集めるのは、思っているよりも時間がかかることがあるため、
なるべく早く取り掛かるようにしましょう。
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