成年後見人の報酬を払えないと利用できないの??



成年後見人の報酬を払えないと利用できないの??写真

家庭裁判所に成年後見制度の利用を申し立てるとき、
ご親族の方を成年後見人の候補者として推薦しても
そのまま親族が選ばれるとは限りません。

司法書士など専門家が成年後見人に選ばれた場合は、
その報酬をご本人様の財産から負担することになります。

そして、先日の記事でもお伝えしたとおり、
成年後見人の報酬は、家庭裁判所の基準では
最低でも月額2万円程度必要になります。

参考 親族後見人が報酬の付与を受けるメリットとその方法

では、目立った財産がなく、
収入も年金のみで報酬を負担できない人は
成年後見人の制度を利用できないのでしょうか??

この成年後見人の制度は、
ご家族によってはデメリットになることもたくさんありますが、
逆に使った方が良い人、使わなくてはならない人もいます。

利用を検討されているお客様から、
成年後見人の報酬を負担できそうにない場合について、
ご質問を受けることがあります。

そこで、今回はこのようなケースでご本人様の財産からの
報酬の負担をなくす(減らす)方法をお知らせします。


成年後見人の報酬には市町村の助成金が利用できる場合も

司法書士などの専門家も仕事でやっている以上、
報酬を受け取ることなく成年後見人に就任する
のが難しい事情があります。

かといって、ご本人様が負担できない場合に
無理矢理出してもらうわけにもいきません。

そこで、利用者と専門家を繋ぐ架け橋として、
市町村などの各自治体が、一定の条件のもと
成年後見人の報酬を支給してくれる助成金の制度があります。


成年後見人の報酬の助成金とは??

例えば、京都市であれば

成年後見制度の利用が必要である一方,身寄りがなく申立てを行うことが困難な場合に京都市が申立てを行ったり,本人等の財産状況から申立費用や後見人等報酬を負担することが困難な場合にこれらの費用を支給することで,成年後見制度の利用促進を図る

京都市成年後見制度利用支援事業

上記事業により報酬の支給が受けられます。


厚生労働省の平成27年4月1日の統計によれば、
この成年後見制度支援事業を実施している自治体は
1,369市町村で、全市町村の78.6%になっています。


成年後見人の報酬の支給が受けられる条件は??

この制度は、あくまでご本人様に財産がなく
成年後見人の報酬が負担できない方を
支援する事業です。

報酬の支給を受けるためには
いくつかの条件※があります。

※下記は、京都市の規定に基づいて解説

1.報酬の支給対象者

まず、報酬の支給が受けられるのは
司法書士など第三者が成年後見人・保佐人・補助人
に就任している場合に限られます。

親族の成年後見人、任意後見人は除かれます


2.支給対象要件

生活保護受給者であれば
それだけで報酬の支給を受けられます。

また、これに準じる方で
次の要件を全て満たす方も受けられます。

・市民税非課税世帯(世帯員全員が非課税)

・預貯金等(生命保険を除く)の額が、
 単身世帯で240万円以下、
 世帯員が1人増えるごとに96万円を加算した額以下

・世帯員が居住する家屋その他日常に必要な資産以外に
 活用できる資産がないこと

一般的には、収入が年金のみの方は
住民税は非課税であることがほとんどなので
預貯金が一定の金額以下になっていれば
報酬の支給が受けられることが多いです。


3.支給を受けられる報酬の額

家庭裁判所が審判した報酬の額
について支給が受けられますが、
次のように上限があります。

ご本人様が在宅の場合  28,000円/月
施設にいらっしゃる場合 18,000円/月


なお、この支給の上限の金額が
審判された報酬の額に満たないときは、
その差額についてご本人様の財産から
支払ってもらうことになります。


付加報酬がなければほぼ全額支給される

成年後見人の基本報酬は財産額により決められます。

助成金を検討する資産状況の方については
原則として報酬は2万円/月になります。

つまり、成年後見人が特別な仕事をしたときに
受け取る付加報酬がなければ
ほぼ全額が支給されますので、

利用者やそのご家族からみれば無料で
専門家の成年後見人に仕事をしてもらえるのです。

第三者の成年後見人でも報酬の心配は不要!

このように、成年後見人の制度が必要な方であれば
ご本人様の財産状況から報酬の負担が心配でも
今回ご紹介したほぼ8割の自治体で実施されている
報酬の助成金の制度を活用することで
問題なく利用ができるものと思われます。

また、最初は利用できる条件に該当していなくても、
後に預貯金が減ってきて条件を満たすようになれば
その時点から報酬の支給を受けることもできます。

ただし、この成年後見制度支援事業を実施しているかどうか
どのような条件で報酬が支給されるのか
などについては必ず利用前にご本人様がお住まいの
市町村に確認しておきましょう。

なお、成年後見の申立て費用については
収入や資産などの一定の条件のもと、
法テラスの民事法律扶助という
立替金の制度も利用できます。

もし、金銭面の不安から成年後見制度の利用を
躊躇されているならこれら助成金の活用も
検討してみてください。

 

私たち新風リーガルサービスへのご相談は【全国対応】です。
オンライン面談にてご自宅にいながら
司法書士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ代表者に直接相談できます。

一部業務を除いて手続のサポートや代行も可能ですので、
ぜひお悩みや不安をご相談ください。

人気の記事